Cucina Abitabile 〜キッチンに住む〜

クチーナ アビタビレ。それは居住可能なキッチンの意。

寺田本家 五人娘 パタゴニア

パタゴニアにウェットスーツを購入しに行った時、店の奥にひっそりと置いてあったというか忘れられたようにポツンと置かれていた日本酒を発見。パタゴニアと日本酒が結びつかず、一瞬思考停止になりましたが我にかえり手に取って説明書きを読む。
知りませんでしたが、どうもパタゴニアは地球を守るための食品事業、パタゴニアプロビジョンズという事業を進めているらしい。詳しくは下記にありますので、お時間あれば見てみてください。
なぜ、食品なのか? | パタゴニア プロビジョンズ

更に、最近パタゴニア創業者が持っている全株を2つの事業組織に譲渡する決定をしたようだ。
https://www.patagonia.jp/ownership/

勿論、ビジネスとしてやっている、と冷めた見方だってできるが、これまでのパタゴニアの自然との共生を目指した事業方針を見る限り本気じゃないのかなぁ、感じます。その姿勢には敬意しかない。地球にダメージを与える生き方しかできていないが、サーフィン自体は下手でも毎週のように海に行く者として少しでも意識を高めていきたいと思う。勿論海に行くのにガソリンを使う矛盾は常に感じつつ、それでもできることから始めるべきかな、と。
いつも行くポイントでも明らかに海岸線が上がってきていると感じる。ちょっと前まであんなに浜があったのになぁ、と。

いろんな見方があるとは思います。それでも今回の「地球が私たちの唯一の株主」という創業者の言葉に共感するものとして、今以上に環境を意識した生き方を目指したいと思う今日この頃です。

と今回のパタゴニアの決定に心を動かされて少し話がそれましたが、はい、そのパタゴニアプロビジョンズの日本酒です。

品名:五人娘
造り手:寺田本家
原料米:美山錦+パタゴニアオリジナル
使用酵母:情報なし
精米歩合:70%
日本酒度:情報なし
酸度:情報なし
アルコール度:15度
県:千葉県
価格:1650円(税込)

どんなに環境を意識しても美味しくないと売れないですし、売れないとビジネスの継続性がなくなるので、結果的にポリシーも貫けなる可能性もありますので味は大事なところです。ただ千葉でも有名な老舗造り酒屋。まぁハズレはないでしょうが。
唯一心配だったのが酸化の進み具合です。
購入したのが7月。製造年月が2月になっていたので、お店での保管状態を考えると実は酸化の具合がどうなのかと。
あまり日本酒の酸化が進んだものが好きではないのでドキドキしながら開栓です。

さて、どうか。グラスに注ぐとかなり黄色。

むむ。生酒、原酒でもなさそうなのに、この色はどうなんだ?とのっけから不安にさせます。

恐る恐る香りをとると、少しだけだがすえた香りが。ただこれは酸化というより日本酒の香り。そして後から爽やかなラムネの香りが追いかけてくる。香りは全く問題ない。むしろ強め香りはが酒の強さを表しているようでパワフルなタイプかと想像させる。

精米は70%。吟醸ではないが意外にスッキリで肩透かしをくらった。
ただ、純米らしいどっしりとした重さの中の軽やかさなのでバランスが良い酒とお見受けしました。そして余韻も長く喉を通過するあたりからドンという酒自身の強さを残していくので結局やはりボディとしては重い部類なのだろう。
そして、料理もそれなりに味の濃い物と合いそうだ。

常温のほうが味わいにコクと複雑さ、酸味がでてくるが、冷やに比べ少しアルコールが重く感じるかなぁ。
この酒のボディを考えると冷やの方がすっきりして飲み進みやい。

元々寺田本家は「五人娘」で有名な酒蔵。そこにパタゴニアのエッセンスを加えたということなのだろうがオリジナルの五人娘を飲んだことがないので比べようがないのが残念だ。今度はオリジナルも買ってみよう。

純米、生酛造り、無農薬酒米、無濾過、これだけ手間と神経を使う製法にもかかわらず1650円は、かなりリーズナブルと思う。
もう今年は売っていないと思いますが、もし来年も販売の予定があれば購入することは間違いなさそうです。

ご馳走様でした。